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英語公用語の国ごとの発音の違いとは?

国によって英語の発音方法が違う!?

英語学習の中で海外ニュースや動画でリスニングを鍛えようとしたとき、

「こんな英語聞いたことない!」
「全然聞き取れない

という瞬間はありませんか?

一言に「英語の発音」といっても、世界で話されている英語には個人から国単位の傾向まで、様々な違う話され方が存在しています。
今回はそんな世界での英語の発音の違いについてご紹介します。

英語が公用語の国はどのくらい?

まず、そもそも地球上でどのくらいの人が英語という言語を話すのでしょうか?

全世界で英語を話すとされている人の数は約15億人と言われています。
世界の総人口が約75億人なので、実に20%もの人が英語を話すということになりますよね。
ですが、実際に英語を母国語とする人の数はもっと少なくなり、約3.6億人とされています。

そのネイティブスピーカーたちがいる国で、英語がその国での公用語であり最大多数の国民の母語である国は18ヵ国(アンティグア・バーブーダ、オーストラリア、バハマ、バルバドス、ベリーズ、カナダ、ドミニカ、グレナダ、ギアナ、アイルランド、ジャマイカ、ニュージーランド、セントクリストファー・ネービス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、トリニダードトバゴ、イギリス、アメリカ)です。

このうち話者人口が最も多い5ヵ国は皆さんも知っているアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、そしてニュージーランドです。

この18ヵ国以外にも、自国語に比べて話者が多くはないものの英語が公用語とされている国は36ヵ国(ボツワナ、カメルーン、ミクロネシア、フィジー、ガーナ、インド、ケニヤ、 キリバス、レソト、リベリア、マルタ、マーシャル諸島、モーリシャス、ナミビア、ナイジェリア、パキスタン、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、ルワンダ、セントルシア、サモア、セーシェル、シエラレオネ、シンガポール、ソロモン諸島、スリランカ、スーダン、南アフリカ、南スーダン、スイス、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ)とされています。

このように他の言語があるのにも関わらず英語が国の共通言語としてフォーカスされている国は、多くが多民族・多言語国家であり、国の中でどこの地域の出身でも教育のレベルによる習得の差はありますが、同じ国民と意思疎通を図るツールとして英語が設定されているのです。

インドでは実に約2,000の言語が存在していますが、ビジネスはほとんどが英語で行われ、政府の通達なども英語と現地語で発行されています。

国ごとの英語の発音の特徴

ここまで英語が話されている国の名前をたくさん見てきましたが、ここから皆さんの英語学習で主に関わってくるアメリカとイギリスの間での英語の発音の違いを軸に、英語圏の発音傾向を見ていきましょう!

アメリカ英語の特徴

まずは日本の教育現場で多く使われるアメリカの英語です。

アメリカ英語は言語学上ではGeneral American (GA)という分類をして一般的なアメリカ英語の発音特徴が研究されています。
アメリカの中でも歴史的に東西南北、特に北と南で英語そのもののダイバーシティが見受けられますが、ここでは音声学の中でメジャーなGAを取り上げます。

アメリカ英語GAの特徴といえる代表的な3つがこちらです。

  1. [r]の音の強さ
  2. broad Aの発音特徴
  3. 破裂音のはじき音への変化

まず1つめは、日本人が一番感じるところだと思いますが、[r]は単語のどの位置にあってもはっきりと発音されるのがアメリカ英語です。
hear [híɚ] やrace [réɪs] のような単語が強い巻き舌のように聞こえるのはこれが要因かもしれません。

2つめのbroad Aとは、音声学で口を大きく開けて発音する母音[αː]のことで、
例えばdanceやbankといった単語の母音「a」の部分をイギリス英語ではそのbroad Aで発音されますが、GAでは[æ]と発音されています。
この力強く発音する[æ]の音がアメリカ英語ではとても印象的です。

3つめに、「破裂音のはじき音への変化」があります。
これは、単語内の[t]や[d]といった破裂音の子音が、発音のしやすさを目的にスペル通りの音で発音されなくなる現象です。

代表的な例がwater [wɔ́ːtɚ]です。

母音に挟まれたときの[t]の発音がFlap-tと呼ばれるはじき音に変化し、本来の[t]とは違う軽い音になります。
発音記号は[ṭ]で、tの下に記号が付いて表されるのですが、このFlap-tは、舌先で上あごを弾き、[d]でもなく[l]でもなく日本語のラ行でもない、「ドゥ」っぽい音で発音されます。

イギリス英語ではこの現象は起こらず、母音にはさまれた[t]の音はそのまま破裂音で発音されます。

イギリス英語の特徴

続いてアメリカ英語とよく対比されるイギリス英語についてみていきましょう。
普段触れる機会が少ないとイギリス英語は聞き取りにくい!と感じたことがある方が多いのではないでしょうか?

イギリスの中でも北と南で発音の違いの差がありますが、アメリカ英語とだいぶ違ってくる主な3点がこちらです。

  1. アメリカ英語[æ]の発音変化
  2. 二重母音の同化
  3. 三重母音の単音化

1つ目は、GAでは特徴的な[æ]の発音が、イギリス英語では [f, s, θ, ð, z, v]といった摩擦音や鼻音[m, n]などの前にくる場合、broad Aの[ɑː]で発音される傾向があります。
bathという単語は、アメリカ英語の発音では[bæθ]ですがイギリス英語では[bɑːθ]となります。

2つ目に、よく聞いても区別がしにくい単語の例としてpoorとpourがあります。
イギリス英語では二重母音[ʊə]と[oə]がどちらも長母音[ɔː]となり、poorとpourの音が同化してどちらも[pɔː]と発音されるのが特徴です。
同じ発音になってしまうので、文脈で判断をする必要がありますね。

最後に、母音でトリッキーなfire [fάɪə(r)] や tower [tάʊə(r)] にみられる二重母音+曖昧母音の[ə]による三重母音の発音は、イギリス英語では2つ目の母音が欠落し、単音の長母音になる傾向があります。
fireとtowerの発音はそれぞれ[fɑː]、[tɑː]となり、これは英語音声学の中でもReceived Pronunciation (RP)とされる伝統標準発音が浸透しているイングランド南部の傾向とされています。

イギリスにおける英語の多様性は奥深く、ロンドンの労働者階級の中では「コックニー」と呼ばれる、映画「マイフェアレディ」の主人公も話していた有名な独特のイギリス発音があり、かなり大きな発音の違いを感じることができます。同じ英語でも、アメリカ人がイギリス作品の映画を観ても理解できない!なんてこともあるそうです。

オーストラリア・ニュージーランド英語の特徴

オーストラリアとニュージーランド英語で顕著とされているのは[eɪ]の発音が[aɪ]となる点です。
todayが[tʊdáɪ]という発音になり「To dieと言っているのかと思った!」となってしまうことは有名ですよね。

他にも、「Hello, guys!」に代わるオーストラリアの若者の挨拶で「Good day, mate!」という表現がありますが、発音は[gʊd dáɪ, máɪt]というようにスペルから大きく変化してしまい、少し慣れていないと意味が分からなくなってしまう場面も多いかもしれません。

これ以外にもオーストラリア英語では、superやdinnerのような単語の語尾のrがしっかり発音されず、supaaやdinnaaのように曖昧になることも特徴的です。これはイギリス英語の影響を強く受けている地域ならではの傾向でしょう。

カナダ英語の特徴

最後に、カナダは語学留学先として人気な国のひとつですが、その理由が英語に癖があまりなく一番学びやすいからというのがあります。
その通りに、地理的にも隣り合うアメリカ英語のGAと変わらず、場所ごとの訛りも少ないところが多いですが、カナダも移民国家であることから国内での英語のマイナーな多様性は多岐にわたっており、都会のトロントが位置するオンタリオ州では多くの発音ダイバーシティが見受けられます。

発音だけでない英語の違いも!

ここまで発音について触れてきましたが、英語が母国語の国の間では単語や意味の使い方に独特な歴史やトレンドがあります。
日本の方言でも、同じものを違う言い方をするといった言語バラエティがあるように、世界規模でももちろん存在するのです。
ここでは、よく比べられるイギリス英語とアメリカ英語での語彙の違いを少しご紹介します!

例えば、「マンションの階数」を言うときはイギリスとアメリカでは少し注意が必要です。

first floorというと、アメリカでは1階を指すのに対し、イギリスでは2階を指しています。

では1階はイギリスでは何と言うのか?というと、Ground floorと呼ばれています。
インドなど、歴史上でイギリスの支配下にあった国ではGround floorが存在しています。

また、日本で言うマンションは、一般的にアメリカ英語ではapartment、イギリス英語ではflatという違いもありますね。

単語の違いは有名なものが他にもたくさんありますが、知っておかないと勘違いをしてしまいそうなのは「フライドポテト」の英単語と「パンツ(pants)」の意味の違いでしょう。

「フライドポテト」は和製英語で、アメリカ英語ではfrench friesというのに対して、イギリス英語はchipsとなります。
chipsと聞くと日本のポテトチップスのようなものを想像してしまいそうです
とはいえ、この使い方はイギリスを代表するスナックのfish and chipsにも表れていますね。

そしてもうひとつの「パンツ(pants)」の使い方です。アメリカ英語では服のボトムスをあらわしますが、イギリスでは下着の意味でとられてしまいます。
最近は日本でもアメリカ英語のような使い方になっていますが、買い物の際には区別して伝えたい単語です。

まとめ

ここまで英語が公用語の国の間での主な発音の違いなどをみてきましたが、英語が聞き取れない・・・と躓いてしまったときには、このような国による英語のそもそもの違いがあるのが原因かもしれません。
一般的なアメリカ英語だけではない発音や表現に触れたり、多くのネイティブスピーカーと関わっていくことで、皆さんの英語感覚がどんどん広がっていき、さらには英語が母語ではない英語話者と関わるときにも、英語の多様性や発音傾向を知っておくことで、第二言語話者同士でのコミュニケーションもスムーズにできるようになりますよ。

辞書によってはアメリカ英語とイギリス英語の発音記号を併記しているものもありますので、単語の意味を調べるついでに発音の違いなどもチェックしてみてくださいね。

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今回の記事では、『英語公用語の国ごとの発音の違いとは?』についてご紹介しました!

 

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