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英語の同化:融合同化 (Coalescent Assimilation)とは

皆さん、こんにちは!Discovering Soundsです。

英語には、発音がスムーズになるために音が変化する「同化」という現象があります。その中でも、「融合同化 (Coalescent Assimilation)」は、2つの異なる音が出会ったときに、互いに影響し合って新しい音に変わる現象です。具体的には、隣り合った音がそれぞれの特徴を融合させ、まったく新しい発音に変化するのが特徴です。

日常会話の中でよく見られるこの現象は、ネイティブスピーカーにとっては自然な発音の一部ですが、学習者にとっては発音の変化に気づきにくく、混乱を招くことがあります。

本記事では、融合同化(Coalescent Assimilation)がどのように起こるのか、具体的な例とともに解説していきます。

融合同化の具体例①:「/t/ + /j/」が「/ʧ/」になる発音

「/t/ + /j/」が「/ʧ/」になる発音は、英語の日常会話でよく見られる融合同化の例です。特に「Don’t you」や「Can’t you」のようなフレーズで発生します。この現象では、/t/ の音と /j/ の音が結びついて、「チ」の音 /ʧ/ に変化します。

「/t/ + /j/」が「/ʧ/」になる具体例

“Don’t you” → /ˈdoʊnt ju/ → /ˈdoʊnʧu/

“Can’t you” → /ˈkænt ju/ → /ˈkænʧu/

“Won’t you” → /ˈwoʊnt ju/ → /ˈwoʊnʧu/

“What you” → /ˈwʌt ju/ → /ˈwʌʧu/

“Wouldn’t you” → /ˈwʊdnt ju/ → /ˈwʊdnʧu/

“Bet you” → /ˈbɛt ju/ → /ˈbɛʧu/

“Meet you” → /ˈmiːt ju/ → /ˈmiːʧu/

“Get you” → /ˈɡɛt ju/ → /ˈɡɛʧu/

“Let you” → /ˈlɛt ju/ → /ˈlɛʧu/

このように、/t/ と /j/ の組み合わせが「チ」の音に変化することで、発音がスムーズになり、より自然な流れが生まれます。

ただし、ネイティブの中には/t/を脱落させる人もいますので、両方の発音があると知っておくと良いでしょう。

融合同化の具体例②:「/d/ + /j/」が「/ʤ/」になる発音

「/d/ + /j/」が「/ʤ/」になる発音は、「Did you」や「Would you」のようなフレーズで起こる現象です。この場合、/d/ の音と /j/ の音が融合し、「ヂ」の音 /ʤ/ に変化します。

「/d/ + /j/」が「/ʤ/」になる具体例

“Did you” → /ˈdɪd ju/ → /ˈdɪʤu/

また、この /ʤ/ は、速く話すときは 自然と /ʒ/ の音に変化することがあります。

“Did you” → /ˈdɪd ju/ → /ˈdɪʤu/ → /ˈdɪʒu/

“Would you” → /ˈwʊd ju/ → /ˈwʊʤu/ → /ˈwʊʒu/

“Could you” → /ˈkʊd ju/ → /ˈkʊʤu/ → /ˈkʊʒu/

/d/ と /j/ の組み合わせが「ヂ」の音に変化することで、よりリズミカルで流れるような発音が可能になります。

「/t/ + /j/」が「/ʧ/」になる例文

「/t/ + /j/」の音が融合して「/ʧ/」の音に変化する具体的な例です。

“What you”

What you want is up to you.(君が欲しいものは君次第だ。)

“Let you”

Let you go home early.(君を早く家に帰らせる。)

“Get you”

I’ll get you a drink.(君に飲み物を取ってくるよ。)

“Meet you”

Meet you at the station.(駅で君に会うよ。)

“Bet you”

Bet you can’t do it.(君にはできないだろう。)

“Set you”

Can I set you up for tomorrow?(明日の準備を手伝おうか?)

“Hit you”

They’ll hit you if you don’t move.(動かなければ君をぶつよ。)

“Ftt you”

This will fit you perfectly.(これ君にぴったり合うよ。)

“Put you”

I’ll put you in touch with him.(君を彼とつなぐよ。)

“Taught you”

Who taught you that trick?(そのトリックを誰が教えたの?)

「/d/ + /j/」が「/ʤ/」になる例文

「/d/ + /j/」の音が融合して「/ʤ/」の音に変わる具体的な例です。

“Did you”

Did you see that?(あれ見た?)

Did you hear the news? (ニュース聞いた?)

Did you know that? (それ知ってた?)

Did you finish your homework? (宿題終わった?)

“Would you”

Would you like some coffee? (コーヒーはいかがですか?)

Would you mind waiting? (待ってもらってもいいですか?)

Would you come with me? (一緒に来てくれる?)

“Could you”

Could you help me? (手伝ってくれる?)

Could you pass the salt? (塩を取ってもらえますか?)

Could you show me the way? (道を教えてくれますか?)

融合同化がよく起こる場面:否定疑問文

融合同化は、否定疑問文でよく発生します。疑問詞や “not” などの否定詞の後に /j/(”you” の発音)が続く場合、自然に発音が融合して新しい音が生まれます。

否定疑問文の具体例:

Don’t you know?(知らないの?)

Can’t you see?(見えないの?)

Won’t you try?(試してみない?)

Wouldn’t you agree?(同意しない?)

Didn’t you hear?(聞かなかったの?)

Haven’t you finished?(終わってないの?)

Aren’t you ready?(準備できてないの?)

Shouldn’t you be working?(働いてないといけないんじゃないの?)

Can’t you help me?(手伝ってくれない?)

Don’t you think so?(そう思わない?)

Wouldn’t you agree?(同意しない?)

Didn’t you know?(知らなかったの?)

Won’t you join us?(一緒に来ない?)

Couldn’t you come earlier?(もっと早く来れなかった?)

Aren’t you ready?(準備できてないの?)

Shouldn’t you be at work?(仕事にいないとダメなんじゃないの?)

Can’t you hear me?(聞こえないの?)

まとめ:「/t/ + /j/」と「/d/ + /j/」が融合する発音ルールの理解

英語の発音でよく見られる融合同化は、特に「/t/ + /j/」や「/d/ + /j/」の音が合わさって、新しい音(/ʧ/ や /ʤ/)に変わる現象です。疑問文や否定文など、”you” の前に /t/ や /d/ が来る場合に発生しやすく、日常会話でよりスムーズに発音するために重要なテクニックです。

カジュアルな会話ではこの融合音が自然に使われています。この発音パターンを身につけることで、会話がスムーズになり、ネイティブスピーカーに近い発音を実現することができます。

英語の発音を習得したいとお考えの方は、Discovering Soundsのレッスンがおすすめです。少しでも興味のある方は、お気軽に体験レッスンにお申し込みください。


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