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カタカナ英語と英語の発音の典型的な違い
こんにちは。Discovering Soundsです。
日本語と英語の発音の間には多くの違いが存在します。それは、日本語と英語の音声体系が大きく異なるためです。日常会話やビジネスの場面で、日本人が英語を話すとき、特有のアクセントや発音の癖が生まれます。これは、カタカナ表記の英単語に由来することが多く、発音のズレや違和感を引き起こす原因となります。
本記事では、カタカナ英語と英語の発音の代表的な違いを紹介し、その特徴や改善方法を解説します。
目次
母音の違い
カタカナ英語
多くの英単語がカタカナ表記になると、日本語の母音(「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」)が使われます。日本語の母音は数が少なく、発音が一定であるため、英語特有の母音の細かいニュアンスや違いが反映されにくくなります。この結果、英語では異なる母音が使われている単語が、カタカナ英語ではすべての母音が同じように聞こえてしまうことがよくあります。また、カタカナ表記では一音ずつがはっきりしているため、本来英語では曖昧に発音される部分(曖昧母音音)が無視されがちで、ネイティブにはわかりずらく聞こえてきます。
カタカナ英語例:
バスケットボール → basukettobōru([バスケトボール] のように聞こえる。s, tの後ろに母音が入り、かつ最後のLがRになりやすく、ウの母音が入る)
英語のスムーズな音の流れが分断され、発音が不自然になります。
英語
英語には、日本語よりも多い母音音素が存在します。例えば、「bit」(短い /ɪ/)と 「beat」(長い /iː/)や、「cut」(/ʌ/)と 「cat」(/æ/)など、わずかな母音の違いが単語の意味を変える場合があります。このため、英語では母音の違いが非常に重要です。また、英語の発音では曖昧母音(/ə/)が頻繁に使われ、発音される音が弱くなる部分があります。これがカタカナ表記では反映されにくい点です。
英語例:
Basketball → /ˈbæskɪt.bɔːl/ or /ˈbæskɪtˌbɑːl/
英語では “basket” と “ball” の母音がそれぞれ異なり、/æ/(バス)や /ɔː/(ボール)など、明確な母音の違いがあります。カタカナではこれらが「ア」や「オ」に変わり、音の特徴が失われがちです。
英語の母音を意識する練習を通じて、よりネイティブに近い発音を身につけることが可能です!
子音の違い(LとRの混同)
カタカナ英語
日本語には「L」と「R」の音を区別する仕組みがないため、英語の「L」と「R」が同じ音として扱われることが非常に多いです。日本語のカタカナ表記では、これらの音が共に「ラ行」で表現されるため、「light」も「right」もどちらも「ライト」となり、区別がつかなくなります。このため、英語の発音では別の意味を持つ単語が、日本語では混同されるケースがしばしば見られます。
特に英語学習者にとっては、「L」の舌の位置と「R」の丸めた舌の動きが異なるため、これを聞き取ったり発音したりするのが難しく感じられることが多いです。
カタカナ英語例:
ライト → raito(LとRの区別がなく、子音のLがRになりやすい。最後に母音のオが入る)
この場合、文脈から判断しないと「light(光)」なのか「right(正しい、右)」なのかが分からなくなることがあります。
英語
英語では、「L」と「R」は完全に異なる音として認識され、これらの区別が単語の意味を大きく左右します。例えば、「light(光)」と「right(右)」は発音も意味も全く異なる単語であり、この区別を明確にすることが重要です。
英語例:
Lの発音(/l/):舌先を上の歯茎(硬口蓋)につけるようにして発音します。音が舌先から抜けるように響くのが特徴です。
Light /ˈlaɪt/(光)
Rの発音(/r/):舌先を歯茎につけず、後方に丸めるような形で音を出します。唇を軽く丸めることも多いです。
Right /ˈraɪt/(右、正しい)
英語のネイティブスピーカーにとっては、この違いは非常に明確で、間違えると誤解を招く可能性があります。
このように、同じ「ライト」という音でも、英語では全く異なる意味になります。
濁音・清音の区別
カタカナ英語
日本語では、濁音(例: “b” や “d”)と清音(例: “p” や “t”)の区別が英語ほど明確ではないため、英単語をカタカナで表記するときに、これらが混同されることがよくあります。特に日本語の音韻体系では、清音と濁音の違いが英語ほど大きく意識されず、同じ音のように扱われることが多いため、英語の発音を正確に再現するのが難しくなります。
カタカナ英語例:
ビール → biru([bɪl] または [pɪːl] のように聞こえる。後ろにウの母音が入る)
このように、清音と濁音が区別されないことで誤解が生じることがあります。
英語
英語では、清音と濁音(例: “p” と “b”)は発音上で非常に重要な区別を持っています。この違いを正確に理解しないと、全く別の単語として認識される可能性が高くなります。
英語例:
清音(例: “p”):清音では声帯を振動させず、息を強く吐き出すようにして発音します。
Peel /ˈpiːl/(皮をむく)
濁音(例: “b”):濁音では声帯を振動させ、音がより深く響くように発音します。
Bill /ˈbɪl/(人名や請求書)
これらの音の違いを明確に発音できるようにすることで、英語のコミュニケーションがよりスムーズになります。ネイティブスピーカーにとっては、これらの違いが非常に重要であり、混同すると全く異なる意味になってしまう場合があります。
このように、清音と濁音の違いは単語の意味を区別する重要な役割を果たします。
破裂音の違い
カタカナ英語
日本語のカタカナ表記では、英語の破裂音(「p」「t」「k」など)が完全に表現されないことが多いです。日本語の発音では、破裂音を出すときに息を強く出す「呼気音」(aspiration)が少なく、音が弱く聞こえることがあります。そのため、英語ネイティブスピーカーが聞いたときに、破裂音がはっきりせず、単語が曖昧に聞こえる場合があります。
例えば、「カップ」というカタカナ表記では、英語の “cup” の発音で求められる明瞭な /k/ と /p/ の破裂音が弱く、音のインパクトが足りないため、「コップ」や別の単語に聞こえる可能性があります。このように、カタカナ表記では英語の音の特徴を再現しにくいのです。
カタカナ英語例:
カップ → kappu(英語の “cup” に比べて破裂音が弱く、単語の輪郭がぼやける。かつpの後ろに母音が入ってしまう)
英語
英語では、破裂音(「p」「t」「k」など)は非常に明瞭に発音され、単語の意味を区別する重要な要素です。英語の破裂音は、発音時に強い息(呼気)が伴うのが特徴で、これが単語を明確にする役割を果たします。
例えば、“cup” /kʌp/ と “cub” /kʌb/ は、最後の音が破裂音 /p/ か、濁音 /b/ かで意味が完全に異なります。破裂音が弱いと、英語では意味が通じにくくなる場合があります。
英語例:
Cup /ˈkʌp/(カップ、杯)
Cub /ˈkʌb/(子熊)
アクセントの違い
カタカナ英語
日本語の単語は基本的に、すべての音節が同じ強さで発音される傾向があります。このため、英語をカタカナで表記すると、英語特有の強勢(ストレス)が再現されず、平坦で単調な発音になりがちです。結果として、ネイティブスピーカーにとっては不自然に聞こえることがあります。
たとえば、日本語では「テレビ」とカタカナで表記すると、“te”、“re”、“bi” の各音節にほぼ均等な強さが置かれます。この発音では、英語の “television” のように、特定の音節に強勢を置くリズム感が欠けてしまいます。この平坦なアクセントのまま英語を話すと、意味が伝わりにくくなることがあります。
カタカナ英語例:
テレビ → terebi(和製英語でかつ、すべての音節が等しい強さで発音される)
英語
英語では、単語ごとに強勢(ストレス)が置かれる音節が決まっており、アクセントの位置によって単語のリズムや意味が変わる場合もあります。特に、音節に強勢を置かないとネイティブスピーカーには聞き取りにくくなるだけでなく、誤解を招く可能性もあります。
英語例:
Television [ˈtɛləˌvɪʒən]
この場合、最初の音節 “tel” に第一強勢があり、3つ目の音節 “vi” に第二強勢が置かれます。これにより単語にリズムが生まれ、ネイティブスピーカーには自然に聞こえます。
英語ではアクセントが正しくないと、全く異なる単語として認識されることがあります。たとえば、“record”(名詞: レコード /ˈrek.ɔːrd/)と “record”(動詞: 記録する /rɪˈkɔːrd/)はアクセントの位置が異なるため、聞き手に誤解を与えないように正確に発音する必要があります。
子音クラスターの省略
カタカナ英語
日本語には、複数の子音が連続する「子音クラスター」の音が少ないため、英語の子音クラスターがカタカナ表記になる際には、母音が補われることが一般的です。この補われた母音によって、英語の発音とはリズムや音の流れが異なり、ネイティブスピーカーには不自然に聞こえることがあります。
例えば、「ストライク」というカタカナ表記では、英語の “strike” の冒頭にある /str/ の子音クラスタがそのまま表現できないため、「su」や「to」などの母音が追加されてしまいます。
カタカナ英語例:
ストライク → sutoraiku(英語では不要な母音「u」「o」が挿入されてしまう)
英語
英語では、複数の子音が連続する「子音クラスター」が非常に一般的であり、正確な発音のためにこれらをしっかりと発音する必要があります。子音クラスターは英語のリズムや音の流れを形成する重要な要素であり、省略したり母音を挿入すると、ネイティブスピーカーにとって理解しにくくなる場合があります。
英語例:
Strike /ˈstraɪk/(打つ、ストライク)
Spring /ˈsprɪŋ/(春、ばね)
Clap /ˈklæp/(手をたたく)
これらの単語は、子音が連続する部分を明確に発音することで、単語全体の意味を伝えやすくなります。
まとめ:自然な英語発音を目指して
英語と日本語の発音の違いを理解し、意識的に改善することで、日本人が抱えがちな「カタカナ英語」の癖を克服することができます。これにより、英語を話す際の流暢さが向上し、ネイティブスピーカーにもより理解されやすい発音を実現できるようになります。
英語の発音を習得したいとお考えの方は、Discovering Soundsのレッスンがおすすめです。少しでも興味のある方は、お気軽に体験レッスンにお申し込みください。
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