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英語の「It」と「That」の正しい使い分け

皆さん、こんにちは!Discovering Soundsです。

英語を学ぶ日本人がよく悩むポイントのひとつが、「It」と「That」の使い分けです。この2つの単語は、どちらも「それ」を意味しますが、文脈やニュアンスによって使い方が異なります。英語のネイティブスピーカーにとっては自然な使い分けですが、日本語には直接対応するルールがないため、多くの学習者が混乱してしまいます。

本記事では、「It」と「That」の使い方の違いや、どのような状況でそれぞれを使うべきかについて解説します。

「It」が使われる状況:具体的な例とポイント

「It」は英語で非常に多用途に使われる代名詞で、特定のものや状況を指す際に便利です。以下では、「It」が使われる典型的な状況とそのポイントについて具体的な例を交えながら説明します。

すでに話題に出ている特定のものや状況を指す場合

「It」は、会話や文章の中ですでに言及された特定のものや状況を指し示す際に使用されます。特に、何度も繰り返す必要がないため、会話を簡潔に保つことができます。

例文:

I found a new restaurant downtown. It has great food.
ダウンタウンで新しいレストランを見つけたよ。そこの料理はおいしい。

この場合、「It」は「新しいレストラン」を指しており、すでに話題に出ているため明確に理解されます。

天候・時間・距離などの非人称表現

「It」は非人称の主語として使われ、天候、時間、距離、温度などを表す際に非常に一般的です。これらの表現では、「It」は具体的なものを指しているわけではなく、状況や状態そのものを表します。

例文:

It is raining outside.
外は雨が降っています。

It is 5 o’clock now.
今、5時です。

このような場合、「It」は状況全体を表現しており、具体的な対象が存在しない点が特徴です。

不定詞や動名詞を主語として置く際の仮主語

「It」は、不定詞(to + 動詞)や動名詞(動詞 + -ing)を使う際に、文をバランスよく保つための*仮主語として機能します。

例文:

It is important to study every day.
毎日勉強することが大切です。

It was fun playing soccer with friends.
友達とサッカーをするのは楽しかった。

ここでは、実際の主語は「to study every day」や「playing soccer with friends」ですが、「It」を使うことで文が自然に始まり、読みやすくなります。

*仮主語とは?

仮主語dummy subject または expletive subject)は、文の構造をバランスよく保つために、特定の主語がない場合や、主語を文の後半に置きたい場合に使われる形式的な主語です。英語では、主に「It」と「There」が仮主語として使われます。

特定の表現やフレーズで「It」を使う場合

「It」は特定のフレーズや表現でも多く使われます。「It seems」「It looks like」「It sounds like」など、感覚や印象を述べる際にも便利です。

例文:

It seems like he is busy today.
彼は今日忙しそうだ。

It sounds like a great idea.
素晴らしいアイデアみたいだね。

これらの例では、「It」が文の冒頭に使われ、話者の印象や感覚をスムーズに伝えています。

このように「It」は具体的なものや状況を指し示す代名詞として、さまざまな場面で使用されます。文のバランスを整えるための仮主語や、状況全体を表す非人称表現としても非常に便利です。

「That」が使われる場面:日常会話での活用法

「That」は、英語の日常会話で頻繁に使われる代名詞や指示語で、特定のもの、状況、または離れたものを指す際に便利です。以下では、「That」が使われる典型的な状況と日常会話での活用法を具体的な例を交えながら説明します。

離れた物や状況を指すとき

「That」は話者から距離があるものや状況を指す際に使われます。物理的な距離だけでなく、時間的、心理的な距離も含まれます。話者や聞き手から遠い位置にあるものや、過去の出来事を指すときにも用いられます。

例文:

That book on the shelf is mine.
棚にあるあの本は私のものです。

Do you remember that time we got lost in the city?
私たちが街で迷った時のこと覚えてる?

このような使い方では、「That」が物理的または心理的に遠いものを示しています。

新情報や後から出てきた話題を指すとき

「That」は、会話の中で新しく話題に上がった情報や、以前に触れられていない情報を指すのに適しています。これにより、話題をスムーズに切り替えたり、強調することができます。

例文:

That was a great movie we watched last night!
昨夜見たあの映画はすごく良かったね!

Oh, that’s what you meant!
ああ、それが君の言いたかったことなんだね!

ここでは、「That」が新たに出た情報や話題を強調し、会話を進める役割を果たしています。

特定のものを強調するとき

「That」は、話者が強調したい特定のものや状況を指すときに使われ、感情を込めて話したい場合にもよく使われます。特に、驚きや感謝の気持ちを表現する際に「That」を使うことで、会話がより生き生きとします。

例文:

That was an amazing performance!
あれは素晴らしいパフォーマンスだった!

That is exactly what I was looking for.
それこそが私が探していたものだよ。

このように「That」を使うことで、感情や意見を強調し、聞き手に強く印象づけることができます。

説明や理由を述べる際の主語として使う

「That」は、説明や理由を述べる際に主語としてもよく使われます。この場合、前に出た情報を受け、それに対する意見や説明を付け加えるときに役立ちます。

例文:

That’s why I couldn’t come to the meeting.
だから会議に来れなかったんだ。

That’s what makes it so interesting.
それが面白い理由なんだ。

この使い方では、「That」が前の文や状況に関連して説明を加えるため、会話をつなげる役割を果たしています。

Can you do it again? と Can you do that again? の違い

it」と「that」は似たような文脈で使われることが多く、両方とも「もう一度やってほしい」という意味を表すことができますが、微妙なニュアンスの違いがあります。

「it」の使い方

it」は、特定の行動やパフォーマンスを指します。その行為や動作自体をもう一度行うことを求める時に使います。

例文

That was great! Can you do it again?

ここでは、「it」はすでに行われた特定の動作やパフォーマンスを指しています。何か具体的なパフォーマンス行為があって、それをもう一度やってほしいという意味です。

「that」の使い方

that」は、何か面白い出来事や一連の行動を指すことが多く、特に意外性やユーモアが含まれる場合に使うことがあります。出来事全体に焦点を当てるニュアンスが強いです。

例文

Can you do that again? That was hilarious!

ここでは、「that」は特定の面白い行動や出来事全体を指しています。「it」とは違い、特にそのユーモラスな部分や意外な動きをもう一度見たい、というニュアンスが強くなります。

It was great. と That was great. の違い

「It was great.」と「That was great.」はどちらも「素晴らしかった」という意味を持ちますが、それぞれのニュアンスや使われ方には微妙な違いがあります。ここでは、それぞれのフレーズの使い方とその違いについて詳しく解説します。

「It was great.」の使い方と意味

「It was great.」は、話し手が特定の出来事や行動、物事に対して評価を伝える際に使います。この「it」は文脈に依存しており、すでに話題に上がっている行動や出来事を指します。話し手と聞き手が共通の話題を認識している場合に用いられることが多いです。

例:

映画を見終わった後に:

“How was the movie?”
“It was great.”

映画どうだった? 素晴らしかったよ。

プレゼンテーションを終えた後に:

“What did you think of the presentation?”
“It was great.”
プレゼンどうだった? 素晴らしかった。

このように、「it」はその場で共通の話題として認識されているものを指しており、特にその対象を視覚的に示す必要はありません。

「That was great.」の使い方と意味

「That was great.」は、より具体的に目の前の出来事や目撃した行動を指す際に使います。「that」は視覚的に示されたり、物理的に感じられる対象を指すことが多く、聞き手にとってもその内容が視覚的にイメージしやすい表現となります。

例:

誰かがパフォーマンスを終えた直後に:

“That was great! You did an amazing job.”
素晴らしかったよ!素晴らしい仕事をしたね。

食事を作ってもらった後に:

“That was great, thank you for the meal.”
美味しかった、食事ありがとう。

「that」は、話し手と聞き手が同じ対象を見たり、経験したことに対して具体的に言及するニュアンスを持っています。

「It」と「That」の使い分けに迷ったときの判断基準

英語を話す際に「It」と「That」の使い分けに迷うことはよくあります。ここでは、「It」と「That」の使い分けに迷ったときの判断基準をわかりやすく解説します。

判断基準1「it」:その場で共通の話題として認識されているものかどうかを確認

「It」は、既に話の中で認識されている対象や、共通の認識があるものを指します。話し手と聞き手の間でその対象がすでに明確である場合に使います。
判断基準: 話の中で既に話題に上がっているか、見えていないが会話で認識されている場合には「It」を使います。


例文:

I found my wallet. It was under the couch.

財布を見つけたよ。それはソファの下にあった。

It’s raining outside.

外は雨が降っている。

判断基準2「That」:具体的に目の前の出来事や目撃した行動を指すかどうかを確認

 「That」は、具体的に指し示すことができるものや、視覚的に確認できる対象を示すときに使います。何かを指さしたり、相手に見せたりする場面で使うことが多いです。
判断基準: 目の前で具体的に確認できるものや、視覚的に示すことができる対象には「That」を使います。


例文:

Look at that bird.

あの鳥を見て。

That’s the book I was talking about.

あれが私が話していた本だよ。

「It」と「That」の使い分けに迷ったときは、話の中でその対象が既に共有されているかどうか、具体的に目の前の出来事や目撃した行動を指すかどうかを考慮することが重要です。

まとめ:「It」と「That」の使い分けをマスターして、自然な英会話を目指そう!

“It”“That” は日常会話で頻繁に使われますが、使い分けのポイントを押さえると自然な英語が話せます。

  • “It” は、すでに話題に上っているものや共通認識がある事柄を指します。抽象的な感想や既に説明されたものに使います。
    • : It was great to see you.(会えて良かった)
  • “That” は、目の前の具体的な出来事や行動を指します。今起こったことや特定の出来事を強調したいときに使います。
    • : That was hilarious!(今のすごく面白かった)

この違いを意識して、会話をさらにスムーズにしましょう!

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