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母音で終わる単語と終わらない単語の法則

こんにちは。Discovering Soundsです。

英語の発音には、母音(vowels)と子音(consonants)の配置に関するルールがあります。特にアクセントの置かれた音節に関して、いくつかの母音音素 (/ɪ/、/ɛ/、/æ/、/ʌ/、/ʊ/) は語末で単独で終わることがないという特徴があります。これらの音が使われる場合、必ず後に結び子音(coda)が伴い、母音で終わる単語にはならないのです。

本記事では、どのような母音が語末に現れないか、そしてなぜそのようなルールが存在するのかを詳しく解説します。また、この発音規則を理解することで、英語の発音がより自然になり、リスニング能力も向上します。

アクセントのある母音が単独で終わらない理由

英語には、「/ɪ/」「/ɛ/」「/æ/」「/ʌ/」「/ʊ/」といった短母音(lax vowels)が、単独で語末に来ることがないという音韻的なルールがあります。これらの母音でアクセントのある音節が終わる場合、必ず子音で終わる結び音(coda)が伴います。

このルールが存在するのは、これらの母音が比較的短く、不安定な音だからです。単独で語末に来ると、英語のリズムや音の流れに違和感を与えるため、必ず子音が追加されます。

結び子音(Coda)が必須の短母音一覧

次に、語末で単独で使われることがない短母音と、それぞれの例を見ていきましょう。

 /ɪ/ – 短い「イ」音

「/ɪ/」は、アクセントがある場合、必ず子音で終わります。

例:

-t で終わる単語

bit /bɪt/(少し)

sit /ˈsɪt/ (座る)

hit /ˈhɪt/(打つ)

fit /ˈfɪt/(合う)

quit /ˈkwɪt/(やめる)

-d で終わる単語

bid /ˈbɪd/(申し出る)

hid /ˈhɪd/(隠した)

rid /ˈrɪd/(取り除く)

その他の子音で終わる/ɪ/ の単語

lift /ˈlɪft/(持ち上げる)

shift /ˈʃɪft/(変える)

gift /ˈgɪft/(贈り物)

drift /ˈdrɪft/(漂う)

→「/ɪ/」で終わる音節には、常に /t/ や /d/ のような子音が続きます。

/ɛ/ – 短い「エ」音

「/ɛ/」も、語末に来ることはなく、常に結び子音が必要です。多くの場合、「/ɛ/」の後には /t/ や /d/ のような子音が続きます。

例:

-t で終わる単語

bet /ˈbɛt/ (賭ける)

set /ˈsɛt/ (置く)

pet /ˈpɛt/ (ペット)

net /ˈnɛt/ (網)

wet /ˈwɛt/ (濡れた)

-d で終わる単語

fed /ˈfɛd/(食べさせた)

led /ˈlɛd/(導いた)

shed /ˈʃɛd/(小屋)

red /ˈrɛd/(赤い)

その他の子音で終わる/ɛ/の単語

left /ˈlɛft/(残した)

slept /ˈslɛpt/(眠った)

belt /ˈbɛlt/(ベルト)

felt /ˈfɛlt/(感じた)

melt /ˈmɛlt/(溶ける)

→ これらの単語でも、「/ɛ/」の後ろに必ず子音が付きます。

/æ/ – 短い「ア」音

「/æ/」も語末では使われません。この音を含む単語は、必ず結び子音で終わります。

例:

-t で終わる単語

cat /ˈkæt/(猫)

fat /ˈfæt/(太った)

hat /ˈhæt/(帽子)

mat /ˈmæt/(マット)

bat /ˈbæt/(バット)

その他の子音で終わる/æ/の単語

lamp /ˈlæmp/(ランプ)

camp /ˈkæmp/ (キャンプ)

→ 「/æ/」の後ろに必ず子音が続いています。

/ʌ/ – 短い「ア」音

「/ʌ/」も語末に現れることがなく、常に子音で終わります。この音は多くの単語で使われますが、必ず何らかの子音が後ろに付きます。

例:

-t で終わる単語

but /ˈbʌt/(しかし)

cut /ˈkʌt/(切る)

hut /ˈhʌt/(小屋)

nut /ˈnʌt/(ナッツ)

shut /ˈʃʌt/(閉める)

-n で終わる単語

run /ˈrʌn/(走る)

sun /ˈsʌn/(太陽)

fun /ˈfʌn/(楽しい)

bun /ˈbʌn/(パン)

-d で終わる単語

bud /ˈbʌd/(つぼみ)

mud /ˈmʌd/(泥)

その他の子音で終わる/ʌ/の単語

cup /ˈkʌp/(カップ)

duck /ˈdʌk/(アヒル)

rug /ˈrʌg/(ラグ)

bug /ˈbʌg/(虫)

→ これらの単語でも「/ʌ/」の後に子音が続きます。

/ʊ/ – 短い「ウ」音

「/ʊ/」も語末で使われることはほとんどありません。必ず何らかの子音が後ろに付きます。

例:

-t で終わる単語

put /ˈpʊt/(置く)

-d で終わる単語

good /ˈgʊd/(良い)

could /ˈkʊd/(~できる)

should /ˈʃʊd/(~すべき)

would /ˈwʊd/(~したい)

その他の子音で終わる/ʊ/の単語

look /ˈlʊk/(見る)

cook /ˈkʊk/(料理する)

book /ˈbʊk/(本)

hook /ˈhʊk/(フック)

push /ˈpʊʃ/(押す)

pull /ˈpʊl/(引く)

→ 「/ʊ/」の後には子音が付き、語末では単独で終わりません。

例外:長母音や二重母音は語末で使われることがある

一方で、長母音(/iː/、/uː/ など)や二重母音(/aɪ/、/eɪ/ など)は語末に来ることがあります。これらの母音は音の長さや響きが十分に安定しているため、子音を伴わずに語末で終わることが可能です。

長母音の場合

/iː/

he /ˈhiː/

me /ˈmiː/

free /ˈfriː/

ski /ˈskiː/

/uː/

who /ˈhuː/

too /ˈtuː/

blue /ˈbluː/

shoe /ˈʃuː/

二重母音の場合

/aɪ/

why /ˈwaɪ/

buy /ˈbaɪ/

sky /ˈskaɪ/

/eɪ/

day /ˈdeɪ/

say /ˈseɪ/

play /ˈpleɪ/

/oɪ/or/ɔɪ/

boy /ˈboɪ/

toy /ˈtoɪ/

joy /ˈdʒoɪ/

/aʊ/

now /ˈnaʊ/

how /ˈhaʊ/

cow /ˈkaʊ/

音韻的な理由:なぜ短母音には子音が必要なのか?

短母音(/ɪ/、/ɛ/、/æ/、/ʌ/、/ʊ/)は、発音が短く、強調されないため、語末に来ると音の終わりが不安定になります。そのため、結び子音(coda)を追加することで、音の終わりを安定させ、単語全体が滑らかに発音されます。

英語学習者へのアドバイス:正しい発音を身につけるために

英語学習者にとって、母音と子音の関係を理解することは重要です。特に、短母音で終わる単語が存在しないというルールを覚えることで、発音のミスを減らし、自然な英語に近づくことができます。

アドバイス1: 短母音が使われる単語では、常に後ろに子音が来ることを意識しましょう。

アドバイス2: 長母音や二重母音の単語が語末に来るときの発音も練習しましょう。

アドバイス3: ネイティブの発音を聞きながら、自分の発音と比較することで、違いを理解することが大切です。

まとめ:英語発音のルールを理解してスムーズな発話を目指そう

英語では、短母音(/ɪ/、/ɛ/、/æ/、/ʌ/、/ʊ/)は語末で単独で使われず、必ず結び子音が伴います。これは、発音の安定性を保ち、単語全体の響きを自然にするための音韻的なルールです。一方、長母音や二重母音は語末に来ることができ、滑らかな発話が可能です。

このルールを理解することで、英語の発音がより自然になり、リスニング力も向上します。日常会話や学習の中でこの知識を活かし、スムーズな英語を目指しましょう。

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