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英語のbringとtakeの違いは?似たような英語のgetやpassを使う場面は?
英語学習者が最初につまずく動詞の一つが「持ってくる/持っていく」に相当する bring と take です。どちらも「移動と物の位置変化」を表しますが、視点(deixis)や文脈によって使い分けが必要です。
さらに get や pass といった似た語が会話で頻繁に登場し、機能やニュアンスが重なって混乱することが多いです。
今回は英語発音矯正スクールのDiscovering Soundsより、bring と take の基本ルールから、get と pass の使い分け、よくある混乱例と実践的な覚え方まで丁寧に解説します。
目次
bring と take の基本的な違い
bring は「(話者や話題の中心・到着点)に向かって物や人を連れてくる」、take は「(そこから離れて別の場所へ)物や人を連れていく」という方向性の違いが核です。もっと平たく言えば、bring は“こちら側へ持ってくる”、take は“あちら側へ持っていく”です。
例文で示すと、話者が自宅にいる場合は “Bring the book to my house.”(本を私の家に持ってきて)と言い、相手に「図書館まで持って行ってほしい」と頼むなら “Take the book to the library.”(本を図書館へ持っていって)となります。
視点が決め手
動詞の選択は必ず“誰の視点で移動を捉えるか”に依存します。話者が目的地にいる、あるいは話の焦点がその到着地点である場合は bring、話者が出発点にいて移動先が話者から離れている場合や、話者以外の第三者の場所に物を移動させる場合は take を使います。
電話越しの指示でも同じルールが適用されます。”Can you bring the cake?”(こちらに持って来られますか)と “Can you take the cake?”(そちらから持って行ってくれますか)では要求の意味が変わります。
実用的な使い分けと例文
相手に何かを頼む場面では、受け手がどこにいるかで自然な表現が変わります。
例えばパーティ場面で「そのワインをここに持ってきて」と言いたいなら “Could you bring that wine here?” と言います。逆に「郵便局にこれを持って行ってほしい」なら “Could you take this to the post office?” が適切です。
ビジネスで「この資料を部長に渡して」なら “Please take these documents to the manager.” と言い、会議室に向かって「資料を持ってきてください」なら “Please bring the materials to the meeting room.” です。
get の使い方 — 「取ってくる/手に入れる/到着する/状態の変化」
get は非常に多義的で、文脈に応じて「取ってくる(fetch)」「手に入れる(obtain)」「到着する(arrive)」「〜になる(become)」など幅広く使われます。
bring / take と交差するのは「取ってくる(go and get)」の用法です。たとえば “Can you get me a glass of water?” は「(どこかへ行って)水を取ってきてくれない?」という意味で、bring に近いですが、”get” は動作の一部に「取りに行く」という要素が強調されます。
一方 “I’ll get it.” は電話が鳴ったときに「私が取る(出る)」という意味で使われます。
移動表現での get
交通手段の文脈では “get on / get off / get to” のように使われ、「乗る/降りる/到着する」を表します。”Take a bus”(バスに乗る)は手段を表すのに対し、”get on a bus” は「バスに乗る動作」を指します。どちらも一般的ですがニュアンスが異なります。
pass の使い方 — 「手渡す/経過する/合格する」
pass は基本的に「手から手へ渡す」動作を表すことが多く、テーブル越しに物を回す場面(”Pass me the salt.”)で頻出です。pass はその場で隣へ送るイメージで、所有の完全移転を必ずしも含みません(例:塩を回すだけ)。
また、時間が過ぎる(Time passed quickly.)、試験に合格する(pass an exam)、法案が可決される(The bill passed)といった意味もあります。
pass と take の境界
pass は「隣の人に渡す」、take は「自分のところへ持って来る/(そこから)持っていく」といった具合に使い分けられます。
たとえば会議で資料を回す場面では “Please pass these around.”(これを回してください)と言い、席を出して配る行為をするときには “I’ll take these to the people in the next room.”(これを隣の部屋の人たちに持って行きます)という違いが出ます。
よくある混乱と覚え方のコツ
覚え方としては単純に「bring = toward the speaker(話者側へ)」「take = away from the speaker(離れて)」と覚えるのが最も有効です。get は「行って取ってくる/手に入れる/変化する」と幅を持たせて覚え、pass は「手渡す/通過する/合格する」など用途ごとに意味を分けて覚えると良いでしょう。
また、英会話では意図や礼儀によって bring と take を使い分けます。たとえば来客に対して “Bring this to the kitchen” と言うと「あなたが台所へ持ってきてほしい」のか曖昧になるので、相手の位置を考えて “Could you take this to the kitchen?”(台所へ持って行っていただけますか)や “Could you bring this here?”(こちらに持ってきていただけますか)と具体的に言うのが親切です。
よく使われるイディオム
英語には bring / take / get / pass を含むイディオムが多数あります。たとえば “bring up”(話題を持ち出す)、”take off”(離陸する/脱ぐ)、”get along”(仲良くやる)、”pass out”(気を失う/配布する)など、基本動詞に前置詞がついて意味が広がる点にも注意が必要です。
まとめ:英語のbringとtakeの違いは?似たような英語のgetやpassを使う場面は?
いかがでしたか?今回の内容としては、
・bring は「話者や指定された到着点へ持ってくる」を表す(Bring the cake here. = ケーキをここに持ってきて)
・take は「出発点から離れて別の場所へ持っていく」を表す(Take the book to the library. = 本を図書館へ持っていって)
・get は多義語で「取ってくる(fetch)/手に入れる/到着する/〜になる」など文脈で使い分ける
・pass は「手渡す/経過する/合格する/法案が可決される」などの意味を持ち、隣へ回すような手渡し動作にしばしば使われる
・視点(誰がどこにいるか)が最も重要。bring=こちら側へ、take=向こう側へ、が基本の覚え方
・日常会話では get を使って「行って取ってくる」や “I’ll get it.”(私がやります)とすることが多く、pass はテーブル越しの受け渡しなどで便利
以上の点が重要なポイントでした。bring=こちら側へ、take=向こう側へ、が基本の覚え方ですので、迷ったときには思い出すようにしましょう。
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