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発音記号の[ˈ]は何?

こんにちは!Discovering Soundsです。

英語の発音を学ぶ際、辞書などで目にする発音記号は、正確な発音を理解するために非常に重要です。しかし、発音記号にはいくつかの種類があり、どれを参考にすればよいのか迷うこともあるでしょう。代表的なものとして、国際音声記号(IPA)やJones式などが挙げられますが、現在ではIPAが主流となっており、多くの辞書や教材で使用されています。

IPAは、世界中の言語の音を正確に表現するために開発されたもので、英語の発音学習においても広く使われています。ただし、使用される辞書によっては、記載されている発音記号が微妙に異なる場合があります。そのため、どの発音記号が使われているのかを確認することが大切です。

本記事では、IPAの発音記号と、発音記号の見方を詳しくご紹介します。

IPAの発音記号をご紹介

以下に、IPAで使用される主な発音記号を表にまとめました。これらの記号を覚えると、英語の発音をより正確に把握できる近道になり、発音記号と音をリンクさせて覚えることで、発音エラーを劇的に減らすことができるでしょう。

母音の発音記号

長母音(5 Long Vowels)

英語には5つの主要な長母音があります。これらの母音は、発音が長く引き伸ばされるのが特徴で、音がしっかりと持続します。

 IPA

 発音例

 単語例

 /ɑː/

「アー」

 top, long, off, soft, hot, knowledge, confidence, father

 /iː/

「イー」

 heat, leap, seek, wheel, sea, cheap, peach

 /uː/

「ウー」

 flew, roof, pool, blue, too, suit, move

 /ɔː/ or /o/

「オー」

 law, jaw, caught, naughty, saw, thought, broad

 /ɚ/

「アー」

 firm, turn, earn, term, per, service, thirsty, church

短母音(6 Short Vowels)

短母音は、長母音に比べて発音の時間が短く、少し低い響きが特徴です。英語には6つの主要な短母音があります。

 IPA

 発音例

 単語例

 /ʌ/

「ア」

 up, us, just, must, tough, country, result, blood

 /ɪ/

「イ」

 big, click, city, list, history, since, thick, internet

 /ʊ/

「ウ」

 book, cook, took, pull, would, could, look, football

 /ɛ/

「エ」

 bet, pen, well, get, help, web, next, best, said

 /æ/

「アー」

 bad, can, that, after, back, last, math, half, laugh

 /ə/

「ア」

 again, above, benefit, circle, development, function

2重母音(10 Diphthongs)

2重母音は、2つの異なる母音が連続して発音される音で、英語には10種類の2重母音が存在します。日本人は特に、2つ目の母音が/ɚ/の2重母音が苦手なので、しっかり練習しましょう。

 IPA

 発音例

 単語例

 /aʊ/

「アーゥ」

 house, mouse, about, crowd, brown, town, cloud

 /oʊ/

「オーゥ」

 home, snow, boat, hope, show, phone, grow

 /aɪ/

「アーィ」

 time, night, find, ice, life, light, why, fly

 /eɪ/

「エーィ」

 say, name, play, eight, face, rain, cake, date

 /oɪ/

「オーィ」

 boil, coin, voice, noise, enjoy, void, point, toy

 /ɑːr/

「アーァ」

 car, star, park, hard, art, dark, heart, part, farm

 /iɚ/

「イーァ」

 beer, cheer, fear, hear, near, tear, career, gear

 /uɚ/

「ウーァ」

 tour, cure, pure, secure, endure, mature, obscure

 /eɚ/

「エーァ」

 bear, hair, share, fair, stare, wear, dare, pair

 /oɚ/or/ɔɚ/

「オーァ」

 store, before, explore, shore, ignore, bore, floor, score

子音の発音記号

以下に示される子音の発音記号と例は、対応する発音とその発音が使われている単語の例を示しています。これらの表を参考にしながら、英語の音声を一つ一つ確認し、練習してみてください。

 IPA

 発音例

 単語例

 /p/

「プ」

 pen, paper, plant, place, picture, phone, power, public

 /b/

「ブ」

 book, ball, baby, bag, bottle, bird, bridge, bread

 /t/

「トゥ」

 table, time, tree, train, teacher, town, travel, tiger

 /d/

「ドゥ」

 dog, door, day, dance, dream, desk, draw, drink

 /k/

「ク」

 key, king, kitchen, kite, kitten, check, back

 /g/

「グ」

 go, gril, game, green, garden, gift, glass, gold

 /f/

「フー」

 fish, friend, photo, food, flower, phone, family, fire, fruit, face

 /v/

「ヴー」

 voice, visit, vehicle, village, value, victory, vote, vegetable

 /θ/

「スー」(舌を出す)

 think, thank, thin, something, thumb, earth, thick, theme

 /ð/

「ズー」(舌を出す)

 this, that, smoothe, these, bathe, there, those, though

 /s/

「スー」

 sun, sea, school, star, sky, song, smile, swing

 /z/

「ズー」

 zoo, zero, zebra, crazy, puzzle, amazing, buzz, quiz

 /ʃ/

「シュー」

 shirt, ship, sheep, washing, ocean, mission, fish, brush

 /ʒ/

「ジュー」

 vision, measure, pleasure, treasure, casual, Asia, beige, garage

 /h/

「ハー」

 hat, house, happy, behind, inhale, perhaps, huge

 /tʃ/

「チィ」

 chair, chicken, choose, teacher, adventure, kitchen, watch, beach

 /dʒ/

「ジィ」

 job, juice, jump, major, enjoy, adjust, bridge, badge

 /m/

「ムー」

 mother, moon, music, summer, family, lemon, room, team

 /n/

「ンー」

 name, night, number, dinner, planet, window, green, human

 /ŋ/

「ンー」

 singer, longer, thinking, anger, sing, ring, king, strong

 /l/

「ウー」

 love, light, life, yellow, flower, help, small, animal

 /r/

「ウー」

 rain, red, river, forest, orange, arrive, rabbit, room

 /w/

「ヴー」

 water, window, winter, awake, white, whale, word

 /j/

「イー」(イの濁音のイメージ)

 yes, yellow, youth, beyond, onion, million, yet, young

以上が母音と子音のIPAの発音記号となります。覚えるのが大変面倒だと思われるかもしれませんが、数はそう多くありませんので、覚えてしまうと後々楽になります。

覚えてしまうことで、辞書で発音記号を見ただけで発音記号と音をリンクさせることができるようになります。それが出来るようになると、自分で正しい発音が音声を聞かなくても再現出来るようになり、発音を練習するのも楽になるでしょう。

発音記号の見方

発音記号を理解することで、英語の発音を正確に学ぶことができます。ここでは、1つの単語を例にとり、発音記号の見方を説明します。

例えば、単語「cat」の発音記号を見てみましょう。発音記号では、/kæt/と表記されます。

母音1つで1音節: 英語の発音において、母音は1つで1音節とカウントされます。つまり、単語に含まれる母音の数が、その単語の音節数を決定します。「cat」の場合、母音の/a/が1つ含まれているため、1音節の単語となります。

子音と母音の組み合わせ: 発音記号は、子音と母音が組み合わさって1つの音を表します。「cat」の場合、/k/が子音、/æ/が母音、そして/t/が子音です。これらの発音記号が順に並ぶことで、「cat」という単語全体の発音が表現されています。子音=consonantのCと動詞=vowelのVで、catはCVCの単語と表現されることもあります。

このように、発音記号を見るときは、各記号がどの音を表しているかを確認し、音節ごとに区切りながら発音を練習することが可能です。発音記号を正しく理解することで、英語の発音力を着実に向上させることができます。

発音記号の[ˈ] [ˌ] は何?

英語の発音記号において、[ˈ] と [ˌ] はアクセントを示す重要な記号です。これらの記号は、単語のどの音節に強勢が置かれるべきかを示し、正しい発音をするためのガイドとなります。

・[ˈ]:第一アクセント(primary stress)

  [ˈ] は第一アクセントを示す記号で、単語の中で最も長く発音される音節の前に置かれます。

・[ˌ]:第二アクセント(secondary stress)

  [ˌ] は第二アクセントを示す記号で、第一アクセントよりも短いが、それでも重要な音節の前に置かれます。

例:単語「photographic」

「photographic」という単語を例に挙げてみましょう。発音記号では、/ˌfoʊtəˈgræfɪk/ と表記されます。

・[ˌfoʊ]:ここで、[ˌ] が「fo」の前に置かれています。これが第二アクセントで、「fo」の部分が他の部分より少し強調されて発音されますが、第一アクセントほどではありません。

・[ˈgræ]:ここで、[ˈ] が「græ」の前に置かれています。これが第一アクセントで、「græ」の部分が最も長く発音されます。

 /ˌfoʊtəˈgræfɪk/は、「fo」と「græ」の部分でしっかり音を伸ばし、「græ」でピッチを高くします。

このように、[ˈ] と [ˌ] の位置を確認することで、単語内でどの音節にどの程度の強調を置くべきかがわかります。発音の際には、[ˈ] が示す音節をしっかりと伸ばし、[ˌ] が示す音節はそれに次いでやや短く発音することで、自然で正確な英語のリズムが生まれます。

まとめ:IPAの発音記号と、アクセント記号[ˈ]と[ˌ]を理解して英語の発音をマスターしよう

英語の発音を正確に理解し、マスターするためには、IPAの発音記号とアクセント記号[ˈ](第一アクセント)および[ˌ](第二アクセント)を理解することが不可欠です。

発音記号は、各音の具体的な発音方法を示し、アクセント記号は単語内でどの音節を強調すべきかを示します。これらを正しく使い分けることで、英語のリズムやイントネーションが自然になり、ネイティブスピーカーに近い発音が身につきます。

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