英語のリスニングやスピーキングにおいて、日本人が特に苦手とするのが似た音を聞き分けたり発音し分けたりすることです。その中でも、多くの学習者が混乱するのが「cars(車たち)」と「cards(カードたち)」の違いです。

どちらもカタカナで書くと「カーズ」に近い音になってしまうため、聞き間違えや発音ミスが頻発します。今回はこの2つの単語の発音記号・音の違い・聞き取りのコツ・練習方法について詳しく解説します。

「cars」と「cards」の発音記号と意味の違い

まず、それぞれの発音記号を確認しておきましょう。

cars:/kɑːrz/
cards:/kɑːrdz/

どちらも最初の音は /k/(カ行の破裂音)で始まり、/ɑːr/(伸ばしながらrを発音)という音を含みます。しかし大きな違いは中間の「d」の有無にあります。

cars:car + s(車たち)
cards:card + s(カードたち)

「cards」には /d/ の有声音が含まれており、これによって違いが生まれています。

「d」音の影響とは?

カタカナで示すとすれば、下記のようなイメージになります。

Cars:語尾の「s」は/z/の音で、濁った「ズ」のように発音します。
Cards:語尾の「ds」は/dz/の音で、「ツ」を濁らせた「ヅ」の音になります。

/z/の発音のコツとして、舌をリラックスさせたうえで下の歯の根元に舌を押しあてると、上の歯の裏側のスペースが狭くなります。その状態でスーと息を出し、そこに声を出すと「z」の発音ができます。つまり「/s/+声」が/z/ですね。

/dz/の発音のコツとして、「ツ」と声に出してみると、音が出る直前に、舌が上あごに触れる感覚があるはずです。同じように息と声を合わせて出すと、「ヅ」という音になります。これが/dz/の発音です。つまり「/ts/+声」が/ds/ですね。なかなか難しいですが、詰まった感じが一瞬あるように聞こえます。音の違いとして、始まりの音の強弱ではなく舌の位置に注目するのがコツです。

ネイティブの発音ではどう聞こえるか

ネイティブスピーカーの発音では、「cars」と「cards」は明確に区別されており、明らかに使いわけができています。ただし、早口やラフな口語表現では音のつながりが滑らかになるため、「cards」の /d/ 音がやや聞き取りにくくなることもあります。

たとえば以下のような文で確認してみましょう。

I like fast cars.
I like playing cards.

この2つの文章は、一見すると似ていますが、注意深く聞けば「cards」の方に一瞬「ドゥ」のような舌の動きがあります。ネイティブは無意識にこれを区別しているため、慣れていないと聞き分けが難しくなります。

発音し分けるための練習法

carsとcardsを正しく発音するためには、以下のような練習が効果的です。

ミニマルペアの反復練習
ミニマルペアとは、1音だけ異なる単語のペアです。以下のようにペアで声に出して繰り返すことで、舌の動きの違いを体に覚えさせます。
cores – cords
knees – needs
boars – boards
rose – roads

シャドーイング
ネイティブスピーカーの発音を聞きながら即座にマネする練習です。

リスニング力を高めるには?

carsとcardsの違いを聞き分けるには、発音の違いを自分で出せるようになることが第一歩です。自分が正しく発音できるようになると、聞き取りの精度も格段に上がります。

また、会話や映画などで聞き取れなかった場合でも、文脈から判断する力も重要です。たとえば、「He owns five luxury cars.」と「He collects rare cards.」では、文全体の意味からどちらを言っているか推測できます。

さらに、英英辞典の音声やYouTubeなどを活用し、実際の音を繰り返し聞くことが理解と定着に繋がります。

「cars」と「cards」を含む例文で確認

実際に両単語を使った例文で、その違いを文脈と音から意識してみましょう。

The parking lot was full of classic cars.
(駐車場はクラシックカーでいっぱいだった)

He shuffled the cards before dealing them.
(彼はカードを配る前によく切った)

両者の違いは音声で聞くと明確になりますが、自分でも音読し、録音して確認するのも効果的です。文脈を意識しても聞き分けができますね。

まとめ:「Cars」と「Cards」の発音の違いと聞き分けについて

いかがでしたか?今回の内容としては、
・「Cars」と「Cards」の聞き分けは難しい
・cars:発音は /kɑːrz/はdの音がなくsに声をのせてzと発音する
・cards:発音は /kɑːrdz/、「d」の音が間に入る 最大の違いは /d/ 音の有無
・「Cars」と「Cards」の聞き分けはミニマルペアやシャドーイングなどの反復練習が効果的
以上の点が重要なポイントでした。英語の発音は、たった一音の違いが意味の違いにつながる繊細な要素です。しっかり練習を重ねて、ネイティブのような耳と口を育てていきましょう。