英語学習者にとって、Rが母音の後に続くR-controlled vowels(R音性母音)は、最も混乱しやすい発音ルールの一つです。特に「ur」「ir」「er」の3つのスペルは、どれも似たような「あー」の音に聞こえるため、「これらは本当に同じ音なのか」気になる方もいるでしょう。

今回は英語発音矯正アプリのDiscovering Nativeより、この疑問に正確に答えつつ、R音性母音の仕組みと発音のコツ、学習のポイントを解説します。

「ur」「ir」「er」基本的に同じ音

「ur」「ir」「er」の3つのスペルは、アメリカ英語ではほぼ同じ R音性母音 /ɝ/(強勢)、/ɚ/(弱勢) に収束します。
強勢のある音:/ɝ/(例:turn, girl)
弱勢の音:/ɚ/(例:teacher, her の語尾)
この音は「r-colored vowel」と呼ばれ、単なる母音 + r ではなく、Rの要素を含む独立した音です。したがって、母音と R を別々に発音する必要はありません。

R-controlled vowels のルール

英語の母音(a, e, i, o, u)は、Rが後ろに続くと、元の短母音・長母音とは異なる R音性母音 に変化します。これを R-controlled vowels と呼び、学習者にとっては、母音 + r の組み合わせを一つの音として覚えることがポイントです。

ir, ur, er の特徴と発音例

以下の単語はすべてアメリカ英語で /ɝ/ の音に発音されます。
スペル 単語 GA発音 意味
ur turn /tɝn/ 回る
ur surf /sɝf/ 波乗り
ur burn /bɝn/ 燃える
ir girl /ɡɝl/ 女の子
ir first /fɝst/ 最初の
ir bird /bɝd/ 鳥
er her /hɝ/ 彼女の
er term /tɝm/ 期間

/ɝ/ の音は日本語の「あー」とは異なる

この /ɝ/ の音は、日本語の「あー」とは発音の仕組みが大きく異なります。正しく理解することが、リスニング力とスピーキング力の向上につながります。

Schwa /ə/ との関連で理解する

初心者向けの理解法として、/ɝ/ は 曖昧母音 /ə/(Schwa)に R の要素が加わった音 とイメージするとわかりやすいです。
曖昧母音 /ə/:口をリラックスさせ、力を抜いた状態で発音する「ア」と「ウ」の中間音
R の音 /r/:舌をどこにも触れずに奥に引き、喉の奥から響かせる「r-colored」音
この二つが組み合わさることで、独特の「曖昧でこもったR音」 /ɝ/ または /ɚ/ が生まれます。

発音のポイント:舌を奥へ引く

正しい /ɝ/ の発音のコツは以下の通りです。
舌の位置:舌先はどこにも触れない。舌全体を奥に引き、口の中央や奥で音を響かせる。
口の形:軽く開き、リラックス。
発声:「ウー」と「アー」の中間のような曖昧な音を出しつつ、Rの響きを加える。

地域による違い

イギリス英語(RP):語尾の R は発音されず、長母音で /ɜː/ と発音。
例:bird /bɜːd/、turn /tɜːn/
アイルランド英語やスコットランド英語:微妙に母音を区別して発音する場合があります。実用的には、アメリカ英語基準で「ur・ir・er は同じ音」と覚えると便利です。

まとめ:ur・ir・erの「あー」の発音は一緒?発音のコツや該当単語について

いかがでしたか?今回の内容としては、
・「ur・ir・er」の発音は基本的に同じ /ɝ/(強勢)または /ɚ/(弱勢)
・発音練習では、スペルに関係なく同じ音を出せるようにトレーニングすることが重要
・発音をマスターした後は、スペルを単語ごとに覚え、自然な英語に慣れていく
以上の点が重要なポイントでした。この /ɝ/ の発音を正しくマスターできれば、ネイティブの自然な響きに近づき、リスニング力も格段に向上するでしょう。